食品メニューも「発明」になる? 〜スパゲッティナポリタンの知財的な一面〜
こんにちは。今回は、私たちにとってとても身近で、どこか懐かしいあの料理、「スパゲッティナポリタン」をきっかけに、食品メニューと特許の意外な関係についてお話ししてみたいと思います。
ナポリタン、皆さんはいつ、どこで食べたのを覚えていますか?
学校の給食、喫茶店のランチ、お母さんの手作り――。ケチャップの甘酸っぱい香りと、もっちりした麺の食感。ちょっと焦げたソーセージやピーマンが、なんとも言えないアクセントになっていたりして。子どもの頃に食べて「なんだか特別な味がする」と感じたあの記憶、大人になった今でもふと恋しくなることがありますよね。
ナポリタンは、ただのパスタではありません。昭和の洋食文化を象徴する、日本ならではの発明料理なのです。
スパゲッティナポリタンとは?
ケチャップで味付けしたスパゲッティに、ソーセージや玉ねぎ、ピーマンが加わったナポリタン。名前はイタリア風ですが、実は完全な日本生まれ。発案したのは、戦後の横浜・ホテルニューグランドの料理長、入江茂忠氏。駐留米軍の食文化にヒントを得て生まれたこの料理は、日本中の喫茶店や家庭に広がり、今や誰もが知る定番メニューとなりました。
食品メニューって、特許になるの?
ところで、このようなレシピやメニューが、「発明」として特許になることがある――そんな話を聞いたことはありますか?
実は、食品のレシピや調理法も、一定の条件を満たせば特許として保護されることがあるのです。
たとえば…
- これまでにない独創的な材料の組み合わせ
- 特定の加熱温度や時間、工程に特徴がある
- 誰でも実際に作れる、つまり産業として再現可能である
という条件がそろえば、知的財産として認められることがあります。
ナポリタンは特許になったのか?
残念ながら、ナポリタンそのものが特許として登録された記録はありません。しかし、ナポリタン風味の商品(スナック菓子やレトルトソースなど)には、その味の再現方法や工程が特許出願されているケースもあります。
飲食業界でも知財の視点を
飲食店にとって、ユニークなメニューは「お店の顔」。でも、料理のレシピそのものは著作権で保護される対象ではないため、工夫の中身を守りたいとき、特許による保護を検討するのも一つの方法です。
もちろん、すべてのメニューが特許になるわけではありませんが、「この味は真似されたくない!」と思ったときは、一度、弁理士に相談してみてもよいかもしれません。
ナポリタンのように、誰かの工夫やアイデアが、世代を超えて人々に愛される存在になることがあります。そんなアイデアを守るための「特許」という仕組みを、ぜひ身近なものとして感じていただければ嬉しいです。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。