「発明」という言葉のイメージについて
「発明」という言葉を聞いたとき、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。
一般の方々にとって、「発明」という言葉は、エジソンの電球やベルの電話のような、歴史に名を残す偉大な技術革新を連想させるかもしれません。あるいは、テレビ番組や漫画の中で登場する天才科学者が、画期的な装置を生み出す場面を思い浮かべる方もいるでしょう。特に、日本のアニメや漫画には、髪がボサボサで白衣を着た博士が「できたぞ!」と叫びながら、煙を吹く機械を前に立っているシーンがよく登場します。「発明=特別な才能を持った人が生み出すもの」というイメージが根強くあるのではないでしょうか。
しかし、知的財産にどっぷりとハマっている人間、つまり特許に日々関わる者にとっては、「発明」の意味合いは少し異なります。技術分野の研究者や特許担当者にとっての「発明」は、もっと日常的で、細かい改良や工夫も含めたものです。例えば、製品の使い勝手を向上させるための小さな工夫や、プロセスを少しだけ効率化する技術的アイデアも立派な発明です。
特許法の観点から言えば、発明とは「自然法則を利用した技術的思想の創作」と定義され、実際のところ、何かまったくゼロから生まれるものばかりではありません。既存技術の組み合わせや、ちょっとした視点の転換によっても、新しい発明は生まれるのです。知財の世界にいると、「発明=非日常的なもの」というよりも、「発明=身近にありふれているもの」という感覚が強くなります。
実際、特許庁に出願される発明の中には、「そんなのも特許になるの?」と思うようなものも多くあります。日常生活の不便を解決するものではありますが、それを「発明」と呼ぶのかどうか、一般の方々からすると少し疑問に思うものもあると思います。
一方で、発明は決して大げさなものだけではなく、日々の暮らしの中にたくさん潜んでいます。例えば、ファスナーやホッチキス、フライパンの取っ手が取れる仕組みなど、当たり前のように使っているものも、かつては「発明」として特許が取られたものです。つまり、私たちはすでに数え切れないほどの発明の恩恵を受けているのです。
このように、発明という言葉のイメージは、知財に深く関わるかどうかで大きく変わってくるのです。どこか遠い存在に感じられるか、それとも日常の一部として捉えられるか。もしかすると、発明の本質は、誰もが日々の中で小さな工夫を積み重ねていることにあるのかもしれません。
「発明=大発明」という先入観を持つのではなく、「発明=身近な工夫」と考えると、私たちの生活の中にもたくさんの可能性があるように思えてきます。