一歩一歩、あきらめずに──審判請求から特許査定までの道のり
特許業務に携わっていると、思うように進まない案件に出会うことがあります。
今回ご紹介するのは、拒絶査定を受け、その後審判請求を経て、さらに拒絶理由通知を受けるという、決して平坦ではない道のりの中で、最終的に「特許審決」を得ることができた案件についてのお話です。
最初に拒絶理由が通知されたときは、技術の新規性や進歩性について、審査官との間で見解の相違がありました。出願人様の思いが詰まった技術であることはよく理解しており、どうにかその価値を認めてもらいたいという気持ちで、粘り強く対応しました。
しかし、残念ながら最初の段階では審査を突破できず、「拒絶査定」がなされました。出願人様も落胆されたかと思いますが、「この技術には可能性がある」と信じてくださり、審判請求という次のステップへと進む決断をされました。
審判段階でも、すぐに道が開けたわけではありません。追加の拒絶理由が通知され、「またか」と心が折れそうになる瞬間もありました。ただ、そのたびに原点に立ち返り、ひとつひとつ丁寧に対応していきました。
そしてついに、「特許審決」の通知を受け取ることができました。その瞬間は、出願人様とともに、心からの喜びを分かち合うことができた時間でした。
この経験を通して改めて感じたのは、「あきらめない姿勢」の大切さです。審査の過程でどんなに壁にぶつかっても、冷静に状況を見つめ、粘り強く対応を重ねていけば、必ず道は開ける――そのことを教えてくれた案件でした。
出願人様の想いと、私たちの技術理解とが重なり、審査官にその価値を届けられたこと。技術の芽が、きちんと「特許」というかたちで認められたこと。その喜びを、これからも忘れずに仕事に向き合っていきたいと思います。